種と野菜と起業と私

無縁だった農と出会って人生が変わっていくお話

顔が見える=安心?

たくさんのお客様でごった返す日々。

 

開業当初、「顔が見える」。だから安心。どこの産直売場でも生産者さんの顔写真を売場に掲示していました。さらに、商品に貼付する値段ラベルには生産者さんのお名前と住所、電話番号が記載されていたので、購入する側とすればさらに安心感があったことと思います。

その当時はまだ個人情報保護法もない時代でしたので、住所や連絡先が記載されていることについて誰もそのことは気にしておりませんでしたし、通常は商品を販売する上で連絡先を記載することは当たり前だと思っていました。

 

そのやり方でしばらくたった頃、数人の生産者さんから「住所と電話番号をラベルに入れないでほしい」と訴えが出てくるようになってきました。

理由は「いたずら電話が頻繁にくる」「家を特定されて畑から花や野菜が盗まれた」「一度苦情をもらったら、お客様からしつこく何度も呼び出しがかかる」等など、生産者さんにとって深刻な問題がおきていたようです。

こうして、売れれば売れるほど、様々な問題が出てくるようになっていきます。

 

結局、ラベルでの個人情報掲載をなくし、販売店の連絡先を記載することで、店側がお客様と生産者さんの間に入ってトラブルや問い合わせの対応をすることになりました。(加工品は許可のある製造場所の住所記載が必要です)

ないよりはあった方がいいと思いますが、顔写真の掲載はそれからしばらく続くことになります。同じ顔写真で10年後も・・・。(笑)

 

お客様は手に取る野菜と生産者さんの顔写真を見ることで、「安心」?していたのでしょう。当時はそれが安心の定義のひとつとしてマスメディアでも取り上げていましたし、顔を出すことで、より責任を持って販売しているというのも事実でしたから。

 

私もまだお会いしていなかった生産者さんは、顔写真しか見たことがありませんでしたが、実際お会いしてみると、写真移りがよろしくない方(怖そうとか)でも優しかったり、写真では穏やかそうに見える方でも意地悪だったり、キツイ人だったり。

 

顔写真掲載はお客様にとって、ひとつの安心材料であったはずです。私もそう思っていました。その当時は。

当然ですが、写真だけでその人の「人となり」や性格は分かるわけもなく・・・。

この「人となり」がこの先とても大切なキーワードになっていくのでした。

 

続く